日本聴覚障害者建築協会(AAJD)の建築見学会は、秋晴れの2016年10月15日(土)の午後に行われました。東京郊外の学生町吉祥寺にある成蹊大学を訪問し、創立100年を記念して2006年に竣工した大学図書館を見学しました。AAJDからは関西支部のメンバーも参加し、実際にデザインを担当した建築家に専門的な話も伺いました。
この図書館のデザインは,同学園OBで、ニューポンピドーセンターの設計コンペで1位を獲得した坂茂さん(坂茂建築設計)と三菱地所設計が共同で担当。施工は清水建設でした。横に建てられている古くからある本館は、黄金分割で建てられています。図書館もその比率に準じ、意匠も本館とマッチした建築設計になっています。
特徴としては、図書館の中央に浮かぶ玉状の空間で、「プラネット」と呼ばれるミーティングスペースです。意匠設計段階で、図書館に玉を浮かせて「静かに本を借りるだけの場所」から、「本を使って議論もできる場所」に変えたそうです。またガラス張りの学習用個室が266席用意されており、ガラス窓から外の欅(けやき)並木や前庭を眺めながら、一人静かに勉強もできます。
収蔵可能数は120万冊で、現状は左右の建物の書棚に55万冊、地下に72万冊を所蔵しています。その地下には「BOOK ROBO 」と言われる,コンピューターによる書籍の自動運搬システムを導入し、欲しい本を自動的に取り出すことができる仕掛けになっています。
このような建築空間で、読書を楽しみたいものです。なお成蹊大学図書館は、教員など同大学関係者や卒業生と、一般の建築家や図書館関係者の方々の見学希望は、次のURLで受け付けています。
http://www.seikei.ac.jp/university/library/guide/gakugai.html#anc01
鈴木道夫(会長)、細野直恒 記