出版

■ 「建築用語・手話ハンドブック」 (手は口ほどにものをいう)

建築手話の本

・発 行  1988年6月12日 初版

・監 修  (旧)東京聴力障害者建築クラブ
(旧)近畿聴力障害者土木建築クラブ

・発行者  谷口  忠

・印刷者  〒160 東京都新宿区新宿5-14-9
(株)文昌堂

・発行所  (旧)東京聴力障害者建築クラブ

・頒 価   [在庫無し]

「建築用語の手話ハンドブックの発刊にあたって」

(東京聴力障害者建築クラブ会長   谷口 忠)

このたび、「聴力障害者建築クラブ」が創立15周年の記念出版物を発行の運びとなりましたことはひとえに 皆様方の絶大なる御協力、御支援の賜物と厚くお礼申し上げます。私たちは今まで建築にたずさわる聴力障害者として、 技術の研鑚、会員相互の情報交換を重ね、また幅広く建築に関わる様々の学習を行って来ました。

しかし、私たちの コミニュケーション手段である手話は、建築と言う専門分野から見たとき、まだまだ未熟であり、建築に関わる立場から あとに続く建築にたずさわる聴力障害者のためにも専門用語の手話を考えることは私たちしか出来ないことであり、 大変有意義なことと考え、これまで建築用語の手話を研究してきました。

ここに創立15周年を迎えるにあたり、 これまでの歩みを総括し、会員及びこれまで御協力をいただいた方々に私たちの活動を知ってもらうとともに 今後の一層の発展を願うことを目的としたいと思います。建築用語の手話本が必要だというお話が始まったのは、 昭和59年10月、神戸で行われた近畿土木建築クラブ交流会での近畿土木建築クラブの提案からだった。 それ以来、約4年の年月をかけて今,不完全ながら初版刊行に至ったものです。

この本の一語一語は、DAC建築クラブ の建築用語の手話研究会に出席したメンバー達、関東地区、遠くは近畿、建築クラブと共に歩もうとする健聴者への 限りない奉仕者の努力の結晶なのです。お互いの意思の伝達、素晴らしい表現、手話の小さな行き違いが多く、 お互いの間に戸惑いの厚い壁を作っていました。

一般の手話による建築用語の表意の不適確さにも不満が生じて、 聴覚障害者及び通訳者の間に手話の統一、建築用語に対する一般手話の表意性を再検討し、是非する気運となりました。 そして、高田馬場にある福祉事務所の一室を借り、毎月第二水曜日夜、第四水曜日夜、聴覚障害者、手話愛好者が集い 、建築用語らしい手話、一般手話にない神秘性、工学性の加味にウェイトを置き、参加者の中で熱心に意見交流が 行われました。

一語、一語、建築用語の手話化に取り組み4年余りの歳月を費やし、やっと建築用語を取り決めるに 至りました。ここまでに至るには、蔭に於いて多くの方々、遠く近畿から欠かさずかけて下さった方、御名前を列記 致しきれずに割愛させて頂きましたが皆様の温かい御協力のありましたことに心から感謝申し上げます。 ありがとうございました。

この本が皆様の手話研修の助けとなり、聴覚障害者の方々の本当の建築研究会に参加出来る ようになれば建築用語の全国統一を容易にするカギがあると思います。尚、一般の手話表現の統一は至極至難ですが、 建築に関しては、全国統一の建築用語の本でもあり、手話も心から成るものもあれば、大変嬉しくと思います。一つの 小さな手が一人の手を取り、一つの大きな輪、力強い和になれば・・・と願います。

昭和63年6月12日

「建築用語手話ハンドブックの刊行を祝して」

(国立筑波技術短期大学教授   小畑 修一先生)

このたび、建築関係の仕事に従事していられる聴覚障害者の方々によって、建築用語の手話がまとめられ、刊行されることに なりました。この事業は、建築関係の聴覚障害者グループの結成15周年記念事業の一環として行われたもので、極めて貴重な 労作であります。関係者の御苦労に感謝すると共に、事業の完成を心からお祝い申し上げます。

手話は、申す迄もなく、聴覚障害者の重要なコミニュケーションの方法でありまして、手話が開発されることは、それだけ コミニュケーションが豊かになることを意味します。現在の日本の手法は、日常生活に密着した手話、いわば”生活手話”の 範囲をあまり出ていないため、専門的な手話は、今後の開発に待たねばならない状況にあります。したがって、同じ専門領域に 従事していられる聴覚障害者の方々が、自分達の体験を基礎にして、このような手話を開発されたことは、後世への大きな文化 遺産となります。

私も、この建築用語手話を資料として、自分の手話研究に一層の磨きをかけたいと思います。関係者各位の御多幸をお祈り申し上げます。

注.各肩書きは、当時のものです。ご了承ください。

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